机まわりの灯り、三つの覚え書き
ご注文をいただくときによくお話しするのは、灯そのものよりも、灯をどこに置くかのほう。よい灯でも、置き場所を間違えると役に立ちません。逆に、ふつうの灯でも、置き場所が正しければ十分に読めます。机まわりの整え方について、これまで現場で見てきたことを三つにまとめました。仕事机にも、書斎机にも当てはまります。
写真 / 奥行き80cmの作業机に、ホソミチ(アーム42cm)
机の幅と、アームの長さ
机の天板の手前から奥までの寸法を測ってください。ふつうの作業机なら60〜80cm、書斎机なら70〜90cmあります。読書灯のアームは、その奥行きの半分強までは伸びる必要があります。たとえば奥行き80cmの机なら、アームは42cm前後がちょうどよい。アサガオの「ホソミチ」が42cmで設計されているのは、この標準的な机の寸法に合わせたからです。
本を机の中央付近で読むためには、光は手前30cm以内に落ちている必要があります。光源そのものが本の真上にあると、自分の頭の影で文字が暗くなる。机のどこに本を置いて読むか、を先に決めて、それから灯の位置を考える、というのが私たちの順番です。
右利きの方 / 灯は左奥
アームを下げて、光を頁の左から
光が、差し込む向き
右利きの方は、灯を机の左奥に置きます。これは書道や習字の指導書にも書かれている基本で、ペン先や鉛筆の影が紙に落ちないように、光は反対側から差し込ませる、という理屈です。左利きの方は、右奥に。
本を読むだけのときは、利き手は関係ないように思えますが、それでも左奥がよいとされています。なぜなら、ページを繰る右手の影がページに落ちにくいから。アームが回るタイプ(ホソミチ、スミビ)は、こうした調整が後からできるのが利点です。お客さまから「アームの角度はどこがいちばんよいですか」と聞かれることがありますが、本のサイズと机の高さによって変わるので、ご自分の手で動かしてみてください、とお答えしています。
写真 / 部屋の主灯(フロアランプ)と、机のヨアケ
主灯と、手元灯と
夜の机仕事には、ふたつの光があるとよい、と私は思います。ひとつは部屋ぜんたいを照らす、ぼんやりとした主灯。これは天井灯か、もしくは部屋の隅に置いた一灯です。色温度は2700K〜3000K、明るさは部屋の広さ×30ルーメンほど。もうひとつが、机の上にひとつだけ置く読書灯。これは6Wで、紙の上だけを照らします。
主灯がないと、机の灯だけがついて、部屋と机の明暗差が大きくなりすぎます。すると目がしきりに焦点を切り替えなければならず、疲れる。逆に、主灯だけだと手元が陰になる。両方がついていてこそ、ようやく落ち着く、というのが体感です。「読書灯ひとつ買えば足りる」と思って注文される方には、たいてい工房から発送する前に、こうした話を電話で一度お伝えするようにしています。